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ニュースでたまに出てくる「もんじゅ」とは。原発と違うの?


ニュースで原子力発電所や原発事故などに関連して「もんじゅ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。原子力関連の施設ではあるようですが一体どのような施設なのでしょうか。
今回は「もんじゅ」について紹介します。

「もんじゅ」とはなにか

「もんじゅ」は原子力発電所ではなく、「日本原子力研究開発機構の高速増殖炉」です。日本原子力研究開発機構は「日本原子力研究所」と「核燃料サイクル開発機構」が統合再編した機関で、原子力の研究や福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組みを行うなど、国内の原子力に関係する事に携わっている国立研究開発法人です。
また、高速増殖炉とは通常の原子炉よりも高速の中性子を使用した核分裂を行うことで、燃料であるプルトニウムを増殖させることを目的とした原子炉です。つまり、「もんじゅ」は原子力発電所に配備されている通常の原子炉とは違う目的を持った特殊な原子炉であるといえます。

もんじゅで何ができるのか

では「もんじゅ」を運用することで何をしようとしているのでしょうか。また、上記で少し触れましたが、高速の中性子を使用して核分裂を行い、燃料のプルトニウムを増殖させるとは具体的にはどういったことになるのでしょうか。
高速増殖炉の最終的な目標は「使用済み核燃料をもう一度利用する」という国際的な試みである「核燃料サイクル計画」を実現することにあります。使用済み核燃料を「もんじゅ」などの高速増殖炉で再利用することで、核燃料を循環させ、使用済み核燃料を減らすことやウラン資源の有効使用を目的とした1960年代から構想のある計画です。この計画が実現すると核燃料の輸入の必要がなくなったり、管理の難しい使用済み核燃料を減らすことができるなど、かなりの恩恵を得ることができます。

問題点

1990年代から本格的に動きだした計画ですが世界的にも見ても成功例がまだありません。それどころか、アメリカ、イギリス、ドイツなどの研究を続けていた国も計画を中止しています。核燃料サイクル計画にはどのような問題点があるのでしょうか。

経済的な問題

高速増殖炉には通常の原子炉を運営するよりも多額のコストが必要になります。ウラン燃料はもちろん、冷却材なども特殊なものであるためどうしてもコストがかかります。そのため、現在では高速増殖炉を運用し続けることに否定的な考えも少なくありません。
さらに追い打ちをかけるように、技術が進歩したことで計画が構想された当時よりも、風力や太陽光発電の方が原子力発電と比べるとコスト的に有利になりました。原子力発電所は建設に7000億円以上かかり、寿命が30~40年間で、メンテナンスや廃炉に1000億円以上かかると試算されているので、これ以上原子炉を運用していくこと自体にも疑問が持たれています。

安全性の問題

「もんじゅ」は以前「ナトリウム漏洩火災事故」を起こしています。この事件は「もんじゅ」の冷却材である「金属ナトリウム」が発火したことが原因で起きました。金属ナトリウムは酸素に触れると発火するので厳重な管理が必要な物質ですが、温度計が折損したを発端に「もんじゅ」の配管から漏洩し、火災になりました。INESによる事故のレベルでは「レベル1」とされていますが、この事件をきっかけに国民に高速増殖炉の危険性が知られることとなりました。

今後の課題

「もんじゅ」をはじめとする高速増殖炉は核燃料リサイクル計画の実現も重要ですが、安全性に配慮した運用が一番の課題といえます。福島第一原発事故以降、国内では原子力に関係する設備には否定的な見方が強くなっているので、また事故が発生した場合はかなりの批判がされると考えられています。

おわりに

今回は「もんじゅ」について紹介しました。核燃料リサイクル計画は実現すればその恩恵は計り知れませんが、未だにその目処が立っていないこと、安全性が必ずしも保証されていないことが問題となっています。
計画を続けるのか、廃炉にするかの今後の動きに注目です。

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放射能と汚染問題

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福島第一原発事故は私たち日本人にとって放射能の脅威を知るきっかけになったかもしれませんが、過去にはチェルノブイリ、スリーマイルといった場所でも原発事故が起こっています。このサイトでは世界のエネルギー問題と放射能との関係性についてまとめたものをご紹介しています。